新病院情報システムは、実際にはマルチベンダーで多種類のシステムで構成されています。しかし、異なるシステムの集合であっても、一人の患者の診療情報は、統合して閲覧できなければ、診療録としての役割を果たしているとは言えません。新システムでは、診療デ−タ、文書、画像のそれぞれに統合して閲覧できる機能を備えています。
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1.デ−タの閲覧
2.文書の閲覧
- Matrix View … 登録文書を、時系列/文書種毎に表示(患者の病歴を鳥瞰できます)
- Tree View … 登録文書を、様々な分類方法でリスト化して表示(目的とする文書をすぐに探すことができます)
3.画像情報の閲覧
- 地域連携としての院外画像の取り込みおよび当院の画像提供をシステムとして本格整備
- 3D画像、Thin Slice画像に対応した院内全域規模の高速3D-PACSと、それを支える安全・長期運用を考慮した大容量サーバ
- 整形外科などの特殊用途や放射線部以外の画像も広くカバーする細かく配慮したPACSの構築
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(5) 診療情報管理についての課題
診療情報は、数十年の長期に渡って見読性が確保されなければなりません。テキストデ−タについては、デ−タと人が読める形に表示するプログラムが必要ですが、通常のシステムの場合、プログラムを長期に維持することは困難です。そこで、全てのシステムで生成される文書について、プリント出力イメージをPDFに変換して保存する仕組みを導入しています。このシステムは、日常の処理する機能とは独立しているため、これらがシステム障害時を起こした際にも、過去の記録を閲覧できる機能を保障します。また、全ての記録が集約されているため、開示請求があった場合でも、ここから診療録を出力することで、もれのない開示ができます。
患者の病歴は、システムの寿命よりも長い期間の保存が必要になります。こうしたニーズに対応するため、全ての文書情報をPDFに変換して集中管理するシステムを導入しています。これにより、システム提供ベンダーが変更になっても、過去の記録が失われることがありません。
(6) 収集情報の活用についての課題
当院では、1995年からデ−タウェアハウスを構築し、診療情報のデ−タを分析可能な形で蓄積しています。これまで、診療情報の電子化の範囲が広がるにつれ、蓄積するデ−タ種も増やしてきました。新システムでは全ての診療情報を電子化しますが、その殆どのデ−タを、デ−タウェアハウスに蓄積して、分析に対象とすることにこだわって、その仕組みを作っています。文書作成システムで登録されるデ−タ、病理検査レポート、放射線検査レポート、生理検査レポート、その他の各種検査レポートのデ−タから分析対象のデ−タを抽出してデ−タウェアハウスに格納しています。また、特に分析が必要なデ−タについてはテンプレートを使って入力しますと、細かな粒度のデ−タを、デ−タウェアハウスに取り込むことができます。
今回のシステムはマルチベンダーのシステム構成となっていますが、あるシステムで入力したデ−タを患者基本情報として保存したり、別の文書で登録したデ−タを、別のシス手の文書に取り込みたいなどのニーズがあります。こうしたことを可能とするために、共有デ−タベースを構築し、これを介して異なるベンダーのシステム間でデ−タの交換ができる仕組みを構築しました。
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1.共有デ−タベースによるシステム間でのデ−タ共有
- 異なるベンダーで作成された文書内のデ−タを共通のXMLフォームで収集し、共有デ−タDBに登録します。文書システムで必要なデ−タをここから取り込むことができます。
- 身長や体重など、文書システムで登録されたデ−タを、患者基本情報DBに登録することができ、他のシステムで利用することができます。
2.DWH、デ−タマートによる臨床研究の支援
- DWHから自動抽出プログラムを設定することで、診療科が必要とするDB(データマート)を構築することができます。
- ユーザは、常時必要なデータマートのみを閲覧、抽出することができます。
- データマートは患者個人情報を匿名化することができます。
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