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check_boxてんかんに関係する福祉制度の案内

てんかんの患者さんは、ある程度の期間、病院に通って治療を続ける必要があります。また、てんかんの患者さんの中には、てんかん発作だけではなく、運動の障害や知的障害、その他、様々な身体の障害を持っている人も多くいます。そうした診療や生活をサポートするために、いろいろな福祉制度があります。ぜひ、活用していただきたいと思います。

医療費の助成制度

(1)子ども医療費助成制度(乳幼児医療など)

てんかんの人だけではなく、子どもの医療費を一部、または全部を負担してもらえます。自治体によって、対象年齢やどの程度負担してもらえるかは異なります。

(2)小児慢性特定疾病医療費助成

この制度に当てはまる病気で、医療費が助成されます。18歳まで適応されますが、昨今は子ども医療費助成制度で十分に賄えるので、利用する人は減っています。難病医療制度よりも、助成される金額が多くなります。入院時の食事代や訪問看護の自己負担額が減額になるので、そうした場合には申請すると良いでしょう。この制度に当てはまるかどうかは、主治医に聞いてみてください。病院主治医の意見書が必要です。

(3)難病医療制度

この制度に当てはまる病気で、医療費が助成されます。年齢制限はありません。ただし、この制度を使って受診できる医療機関は、難病指定医療機関として登録されているところだけです。この制度に当てはまるかどうかは、主治医に聞いてみてください。

(4)自立支援医療(精神通院医療)

外来の精神障碍者の通院費用が、10%負担に減額される制度です。受診する病院が指定自立支援医療機関であることが必要です。

(5)障害児(者)医療費助成

身体障害者手帳1級・2級、療育手帳A判定、療育手帳B判定+身体障害者手帳など、一定の条件を満たした患者の医療費が助成されます。条件は、自治体によって違うので、確認が必要です。

手帳制度

(1)身体障害者手帳

てんかんがあるというだけではなく、合併する身体の症状が重症の場合に、取得できる可能性があります。等級により受けられるサービスは異なりますが、重要なものとして、障害者福祉サービス(ヘルパー制度)、補装具・日常生活用具の交付、所得税・住民税の控除・減免、特別児童扶養手当、障害児福祉手当、特別障害者手当、重症心身障害者手当といった手当類などがあります(各自治体で適用となるサービス内容は異なります)。

(2)療育手帳

知的障害(精神遅滞)のある児童・者に発行されます。障害者福祉サービスの利用が可能になり、特に行動援護(ガイドヘルパー)や移動支援事業を利用できます。等級があり、Aが重度(知能指数が35以下)、B1が中等度(36以上50以下)、B2が軽度(51以上75以下)などとなりますが、自治体により、等級の名前や区切り方は異なります。判定は自治体で行われます。

(3)精神障害者保健福祉手帳

精神障害のある児・者が、各種の福祉制度上の支援、援助を受けられるように、障害者福祉サービス(ヘルパー制度)や行動援護(ガイドヘルパー)、移動支援事業の利用ができます。

手当類

(1)特別児童扶養手当

20歳未満の在宅あるいは入院中の心身障害児を養育している扶養義務者に支給されます。施設入所は対象になりません。

(2)障害児福祉手当

20歳未満の在宅の重度心身障害児に支給されます。対象は、身体障害者手帳1級、もしくは療育手帳1度(おおむね発達指数が20未満)と同等の障害を有している場合です。

(3)特別障害者手当

身体または精神に著しい重度の障害を有する人に支給されます。対象は、20歳以上で、身体障害者手帳1級または2級程度かつ療育手帳1度または2度程度の障害が重複している人か、同程度の障害が重複している人です。

(4)重症心身障害者手当(重度心身障害者介護手当)

重度の知的障害と身体障害を重複して有する人、または介護している人に支給されます。支給額も自治体により、大きく違い、制度のない自治体もあります。

(5)障害年金

国民年金に加入している期間中、または20歳前に生じた病気やけがにより障害を持つことになった者に年金が支給されるものです。障害程度としては、障害者手帳1級または2級に相当します。

障害者総合支援法によるサービス

2014年に施行された障害者総合支援法により規定される制度で、障害支援区分に基づいて、支援の度合いを判定します。対象は、重度肢体不自由、重度知的障害、精神障害、行動障害を有する人です。

(1)障害者福祉サービス

サービスは、介護給付と訓練等給付があります。介護給付として、居宅介護(自宅での入浴・排泄・食事の介護など)、重度訪問介護(重度障害者に対する外出時の移動支援)、重度障害者等包括支援、療養介護といった在宅で行うもの、短期入所、施設入所支援といった自宅外や入所施設で行うものがあります。訓練等給付には、自立訓練(機能訓練と生活訓練の2種)、就労移行支援、就労継続支援、共同生活援助といった支援があります。
18歳未満の子どもに対するサービスは、主に通所する障害児には、児童発達支援センターと児童発達支援事業、就学中の障害児には、放課後や長期休暇中の訓練のために、放課後等デイサービス、保育所における集団生活適応のための保育所等訪問支援が設けられています。また、入所施設には、福祉型と医療型の障害児入所施設があります。

(2)補装具

車椅子や坐位保持装置、歩行器、起立保持具などの補装具が給付されます。対象は、身体障害者手帳を有する障害児(者)です(難病患者でも自己負担額が異なりますが、対象となる場合もあります)

(3)日常生活用具

ストマ装具や在宅用吸引機、ネブライザー、入浴補助用具などを給付できる制度です。対象は、身体障害者手帳を有する障害者(児)もしくは難病患者です。