業務内容

 

病院情報システム

 大阪大学医学部附属病院では2010年1月、ペーパレス電子カルテを目指し、病院情報システムを更新しました。本システムでは、「病棟ワークフローを支援するシステム」をキーワードに、新たに「指示システム」、「To-Doシステム」を導入しました。これらのシステムは、データの入力支援およびデータの二次利用を可能とする「テンプレート入力システム」によって実現しています。

ペーパーレス電子カルテ・DACS

 診療記録文書統合管理システム(Document Archiving and Communication System:DACS)は、我々が提唱したコンセプトで、診療情報をデータ単位ではなく文書(Document)単位で管理する診療記録の保存システムです。さまざまな診療情報を文書単位で管理することで、診療記録の電子保存に関する要件(真正性・見読性・保存性の担保)を満たし、長期的に診療記録を見読性を確保して保存します。電子カルテで作成される全ての文書を統合的に管理し、文書を時系列に文書種ごとに閲覧する事が可能です。また、簡単な操作で指定した期間の全ての診療録情報がある指定した順番で紙に出力する機能を持っています。

データの二次利用・DWH

 私達は、これまで病院情報システムを構築しながら、臨床研究に必要とするデータを分析用のデータベース(データウェアハウス)に移して管理してきました。現在、14億レコードの巨大なデータベースとなり、1日40万レコードが追記されています。 私達は、このデータベースを利用して、薬剤疫学、医療経済などの研究に取り組んできました。

 後ろ向きコホート研究の方法を確立し、データベース内に必要なデータがありさえすれば、前向き臨床研究を模擬した研究を、1週間程度でできることを示してきました。前向き臨床研究には、長い時間と手間がかかります。日頃の臨床で気づいた仮説を、このデータベースを使って検証し、良い結果が出そうであれば、前向き臨床研究を企画して進めていくのが、これからの効果的な臨床研究の進め方ではないかと考えています。

 また、データマイニング手法を使って、仮説自身を発掘することもできると考えています。 また、多施設共同研究を推進する方法の開拓は、世界的に関心の高いテーマです。大規模病院での電子カルテシステムの導入事例は日本では珍しくありませんが、海外では、先進国でもまだ稀です。電子カルテシステムによって、多施設共同研究を支援する方法の確立が期待されていますが、日本は、この分野で一歩リードできる立場にあります。一方、日本では、様々なタイプの電子カルテシステムが広まっています。どの部分をどのように標準化させてこの目的を達成していくのかは、大いに知恵を絞るべきところです。

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