放射線部トップ > 代表的な検査について「MRI検査」
MRIとは(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像)の略称です。非常に強い磁石と電波を利用して、人体の様々な断面を撮像する検査です。大阪大学医学部附属病院では現在4台のMRI装置(3テスラ:3台、1.5Tテスラ:1台)が稼働しており、様々な部位・疾患に対して必要な情報を提供しています。
MRI検査は特殊な環境下(強い磁場)で行う検査ですので、注意事項を十分にご確認してください。




MRIの特徴
○ X線を使いません。
○ 体中のあらゆる方向の画像が得られます。
○ 痛みは全くありません。
○ 強い磁石と微弱な電波を使って検査をします。
○ 検査時間が長くかかります。
○ 大きな音がします。
曜日別実施検査内容
月曜 | 火曜 | 水曜 | 木曜 | 金曜 | ||||||
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午前 | 午後 | 午前 | 午後 | 午前 | 午後 | 午前 | 午後 | 午前 | 午後 | |
MR-1 | 頭部 | 頭部 | 腹部 骨盤 |
頭部 | 頭部 | 腹部 骨盤 |
頭部 | 胸部 頸部 |
頭部 | 頭部 |
MR-2 | 乳腺 | 頭部 脊髄 |
骨軟部 | 骨軟部 | 頭部 | 腹部 骨盤 |
頭部 脊髄 |
乳腺 | 腹部 骨盤 |
腹部 骨盤 |
MR-3 | 頭部 | 腹部 骨盤 |
頭部 | 頭部 (小児) |
腹部 骨盤 |
頭部 脊髄 |
胸部 頸部 |
頭部 脊髄 |
骨軟部 | 腹部 骨盤 |
MR-4 | 頭部 | 骨軟部 | 頭部 | 頭部 腹部 ペースメーカ |
胸部 頭部 |
腹部 骨盤 |
胸部 頸部 |
心臓 | 腹部 骨盤 |
頭部 脊髄 |
当院では予約制で検査を行っております。予約時間の15分前までにお越し下さい。
MRI検査をより安全に受けていただくために毎回、検査前に問診表を用いて確認をさせていただきます。
- 検査室に入る前に注意事項について再度確認をします。
- 検査用ベッドに仰向けに寝て下さい。 (体の位置がずれないように固定をする場合があります) 検査中に気分が悪くなったりした場合の連絡用にブザーをお渡しします。 また検査中は担当者とマイクを通じていつでも会話ができます。 (リラックスしてお受け下さい。) 音を和らげるためにヘッドフォン、耳栓、耳をふさぐなどを行います。 (検査の内容により対処が異なります。)
- 検査がはじまると連続的に「トントン」という音がしますが磁石から出る音ですので心配はいりません。 動かないように寝ていて下さい。(胸部の検査や腹部の検査の場合は何回か息をとめて検査を行うことがあります。)
- 検査の内容(より詳しく調べるため)によっては造影剤という薬を静脈内に注射して検査を行う場合があります。
当院では造影剤使用承諾書の署名を毎回お願いしています。
患者様ご本人の署名をした上で検査当日ご持参ください。
(造影剤使用承諾書は診察時主治医よりお受け取りください。)
注意事項
MRI検査室は常に強い磁場が発生しています。磁石にひきつけられたり、破損のおそれのあるもの、画像に影響するものについて検査前に検査スタッフがチェックし、あらかじめ取り外して頂きます。原則、頭頚部検査以外の部位では検査着に着替えて頂きます。(検査部位の近くにファスナー・ホック・金属ボタンなどがある場合には検査着に着替えて頂くこともあります。)
以下の方はMRI検査を受けることができない場合がありますので、事前に検査スタッフにお知らせください。
○検査を受けることができません
●心臓ペースメーカーを使用している方
●人工内耳を埋め込まれている方
●可動型義眼を装着している方

○検査を受けることができない場合があります
●脳動脈瘤の手術を受け金属クリップを入れている方
●金属製の心臓人工弁を入れている方
●その他の金属を体内に入れている方(眼に金属粉等が入っている可能性のある方)
●妊婦又は妊娠している可能性がある方
●閉所恐怖症の方
検査室に持ち込めないもの
金属類
時計、メガネ、ライター、鍵、アクセサリー(ピアス、ネックレス、指輪)、ヘアピンなど
磁気カード
キャッシュカード、テレホンカード、定期券、駐車券、診察券など
その他
携帯電話、補聴器、入れ歯、カイロ、湿布、マスカラ、アイシャドウ、刺青など
どのように検査し、検査時間はどのくらい?
寝台に寝て、大きな丸い筒状の穴の中に入り検査をします。
検査部位・内容によっては、息を止めたり、造影剤を使用します。
検査時間は、検査部位・内容によって異なりますが、約20~60分程度です。
また検査中は非常に大きな音がします。

造影剤とは?
MRI検査で用いる造影剤は、血管(静脈)から投与するものと、経口で投与するもの(飲み薬)があります。
造影剤は、病変を明瞭に確認でき、血管の状態を評価するのに役立ちます。または疾患によっては造影剤を用いないと正確に診断ができない場合があります。
造影剤の投与によって稀に副作用(アレルギー)が起こる場合があります。
軽い症状はくしゃみ、吐き気、かゆみなど、きわめて稀ですが重い症状は血圧低下、呼吸困難などを生じることもあります。当院では、こうした副作用に対して万全の体制をとっています。

どのような場合に検査ができないのですか?
MRI検査は非常に強い磁石の力を利用していますので、体内に金属がある場合は検査を施行できない場合があります。(材質によっては検査可能な場合がありますので、担当者にお尋ねください。)心臓ペースメーカー等の医療機器を使用されている場合も検査を受けることはできません。
また、MRI装置は構造上狭いトンネルのような形をしております。したがって狭い場所が苦手な方(閉所恐怖症)も検査が施行できない場合があります。

小児の検査はどのようにするのですか?
MRI検査は非常に動きに弱く検査時間が比較的長いため、検査時間内制止できない場合はお薬等(眠くなる薬)を服用していただいて、眠った状態で検査を施行します。
経口薬、坐薬等でも眠らない場合は向精神薬を静脈内投与して行う場合があります。
検査開始時間は、予約時間と異なりますのであらかじめご了承ください。

MRIは検査中大きな音がしますので、じっとできないお子様には軽い睡眠導入剤(経口または坐薬、もしくは向精神薬を静脈注射)を使用し、寝た状態で検査を行います。この場合お子様がいつ眠るか分かりませんので、早めに来院して頂くことになります。
またお子様が起きないうちに検査するために、場合によっては検査の順番をお待ち頂くことがあります。
MRI検査をより詳しく行う場合には造影剤を使用することがあります。通常、腕の静脈に点滴を取り、検査の途中で造影剤を使用します。また検査内容によっては検査前に飲んでいただく経口造影剤もあります。以下の方は造影剤を使用できないことがありますので、事前に担当者にお申し出下さい。
・喘息がある(かかったことがある)方
・アレルギー体質の方
・今までに造影剤を使用して気分が悪くなったり、じんましんが出たりしたことがある
・授乳中の方
頭部・脊椎領域
頭部MRI検査の代表的な画像として、T1強調画像、T2強調画像があります。また、他の様々な撮像方法と組み合わせて診断することで、脳梗塞や脳出血、その他の変性疾患を的確に診断することができます。
また、造影剤を使用することにより、小さな脳腫瘍や、血管の診断にも有効な検査です。
MRI検査では、造影剤を使用しないで、血液の流れを利用して血管を描出する(MR-angiography:MRA)ことができ、脳動脈瘤、動脈塞栓症、血管狭窄などの診断に利用されます。
しかし、検査時間が長いことや、体の動きの影響で画質が劣化しやすいなどの欠点があり、患者様のご理解と、ご協力が必要となります。



MRIでは脊髄や椎間板などの組織を鮮明に描出することができ、椎間板ヘルニアによる脊椎神経の圧迫や、その他、脊椎変性疾患などの診断に有用な検査です。



胸部・心臓領域
心臓MRI検査では、動いている心臓を動画(Cine画像)として観察でき、心駆出率、拍出率、拍出量、心容積などの評価が可能です。また,心筋血流,心筋バイアビリティなど心臓の機能と冠動脈の形態を総合的に評価でき,心筋梗塞や狭心症の診断能が高いといった特長があります。


乳房領域
MRIは他のモダリティに比べて乳管内癌の検出に優れ、乳癌の治療に際して広がり診断や多発などの存在診断に有用です。

腹部領域
肝臓の横断面像です。MRI装置により基本的には息を止めて撮影を行いますが呼吸に合わせて(自然の呼吸状態で)検査を行う場合もあります。
水からの信号を画像化することにより、胆嚢や胆管、膵管を描出した画像です(MRCP)。この検査では、胆石、胆管の拡張や狭窄などを診断することができます。


腹部の血管を明瞭に描出するために造影剤を使用して撮影を行います。腫瘍や血管系の疾患などを診断する為には有用な検査です。

四肢領域
MRIではX線撮影で診断の難しい靭帯や半月版などの組織も、明瞭に描出することができます。骨組織はもちろん関節、靭帯の診断にも有用な検査です。



MRIでは、非造影剤を用いないで動脈と静脈を選択的に描出することが可能ですが、造影剤を使うことにより繊細な動静脈血管の検査を行うことができ血管の狭窄や塞栓の診断に有用な画像が得られます。

