阪大医学部 医療情報学・阪大病院 医療情報部 本文へジャンプ
臨床研究データベース / DWH(Data WareHouse)
 私達は、これまで病院情報システムを構築しながら、臨床研究に必要とするデータを分析用のデータベース(データウェアハウス)に移して管理してきました。現在、14億レコードの巨大なデータベースとなり、1日40万レコードが追記されています。 私達は、このデータベースを利用して、薬剤疫学、医療経済などの研究に取り組んできました。

 後ろ向きコーホート研究の方法を確立し、データベース内に必要なデータがありさえすれば、前向き臨床研究を模擬した研究を、1週間程度でできることを示してきました。前向き臨床研究には、長い時間と手間がかかります。日頃の臨床で気づいた仮説を、このデータベースを使って検証し、良い結果が出そうであれば、前向き臨床研究を企画して進めていくのが、これからの効果的な臨床研究の進め方ではないかと考えています。

 また、データマイニング手法を使って、仮説自身を発掘することもできると考えています。 また、多施設共同研究を推進する方法の開拓は、世界的に関心の高いテーマです。大規模病院での電子カルテシステムの導入事例は日本では珍しくありませんが、海外では、先進国でもまだ稀です。電子カルテシステムによって、多施設共同研究を支援する方法の確立が期待されていますが、日本は、この分野で一歩リードできる立場にあります。一方、日本では、様々なタイプの電子カルテシステムが広まっています。どの部分をどのように標準化させてこの目的を達成していくのかは、大いに知恵を絞るべきところです。

阪大でのDWH活用の実績

 本院では、1995年よりデータウェアハウス(DWH)を構築しています。現在、DWHは、約200テーブルあり、約100万人の診療データが蓄積されています。DWHのテーブル構造は、少なからず電子カルテに依存しており、複数のテーブルを結合し、データを抽出・加工しなければ目的のデータが抽出できないため、本院では、医療情報部がデータ抽出サービスを実施しています。

 2012年度の依頼件数は約500件でした。どのような依頼があったのかを大まかに分類したところ、データ抽出タイプは(1)診療統計 135件、(2)症例検索 326件、(3)分析データ抽出 25件、(4)疾患情報 14件となっています。これらの検索には処方、注射の投薬情報や病名といったデータ種が多く使われていることがわかっています。

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