抗癌剤等の重大な副作用の一つに間質性肺疾患があり、その発生頻度の調査は、薬剤の安全性を評価する上で重要となります。薬剤の製造販売後調査として間質性肺疾患の発生頻度を調査する方法として、レセプトデータを利用する方法が可能であれば、広く調査ができるので有効です。しかし。レセプトデータから間質性肺疾患を特定する方法について、妥当性の評価がされていません。本研究は、がん患者を対象として、レセプトデータによる間質性肺疾患のアルゴリズムの妥当性の検証を目的としています。胸部CTで間質性肺疾患と診断された患者さんを真とし、これに対してレセプトデータによる間質性肺疾患の検出アルゴリズムの精度を評価します。
対象患者さんは、大阪大学医学部附属病院において、2013年1月1日から2019年3月30日にがんの診断名が付き、その時18歳以上の患者さんから選択します。2014年1月1日から2019年6月30日までの間に胸部CT検査がされた患者さんについて、その検査実施12カ月前の期間に90日以上のがんの病名がある患者さんが対象となります。胸部CT検査のレポートから間質性肺疾患の有無を判定します。この間に胸部CT検査が実施されていない患者さんについては、2014年1月1日から2019年3月31日までのランダムに選択した日を基準日とし、その12カ月前の期間に90日以上のがんの病名がある患者さんが対象となります。これらの患者さんは、間質性肺疾患がない患者さんとします。
対象患者さんを半分に分け、一方で、レセプト・DPCデータを用いて、間質性肺疾患を検出するために有効なデータおよび推定式を求め、他方で、その精度を調べます。こうして得られた間質性肺疾患の検出方法で間質性肺疾患を検出します。
レセプト・DPCデータで特定した間質性肺疾患と胸部CTレポートで診断した間質性肺疾患の一致を調べ、陽性的中率、感度、特異度、陰性的中率、Fスコア等の指標を算出します。
本研究は、先行研究「レセプト及びDPCデータによる間質性肺疾患の特定アルゴリズムの開発と電子カルテデータを用いた精度の検証」の後続研究で、ここで取得したデータを使用し、データ解析について追加研究し、解析の検証を行うことを目的としています。
研究責任者:松村泰志(大阪大学大学院医学系研究科医療情報学・教授)
研究機関代表施設:大阪大学医学部附属病院医療情報部
研究実施予定期間: 〜2021年8月31日
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