胎児治療説明

Fetal surgical interventions

超音波ガイド下穿刺

超音波ガイド下穿刺とは

超音波ガイド下穿刺とは、お母さんの腹壁(おなかの上)に超音波プローベをあてて、赤ちゃんを観察しながら、お母さんの腹壁から針を穿刺し、胎児体内の貯留液を吸引する手技のことです。

対象疾患

①胎児胸水
大量の胎児胸水を来す場合、その後胎児循環不全が生じ、胎児水腫(赤ちゃんの全身が浮腫む状態)に至ることもあります。また、赤ちゃんの肺低形成(肺形成が不十分な状態)のリスクにもなります。超音波ガイド下に胸腔(胸水が溜まっている場所)穿刺を行い、胸水を吸引除去します。
除去した胸水で、胸水の原因も調べることができます。また、感染や染色体の検査を行うこともあります。穿刺後、24〜72時間以内に元に戻る場合は、胎児胸腔-羊水腔シャント術を検討します。
②胎児卵巣嚢腫
妊娠中に胎児の卵巣が母体や胎盤から分泌されるホルモンの影響を受けて、卵巣嚢腫を形成することがあります。妊娠中に自然に縮小していく症例も多いですが、卵巣嚢腫径が30mm以上を超える場合には、卵巣が捻じれてしまい、その結果卵巣が壊死し、卵黄機能を失う可能性があります。当院では37週未満で卵巣嚢腫径35mmを超える症例に関しては、超音波ガイド下穿刺を行い、卵巣嚢腫内の貯留液を吸引する方法を検討します。

具体的な方法

入院治療になります。手術は分娩室あるいは手術室で行います。処置前には感染予防のために抗生剤の投与を行います。まず、お母さんのお腹から超音波検査を行い、安全に穿刺できる部位を探します。その後、お母さんのお腹を消毒し、局所麻酔を行った上で針を腹部から穿刺し、胎児体内の貯留液を吸引します。処置後は、お母さんには数時間横になって安静にしてもらい、胎児心拍陣痛図を装着して、赤ちゃんが元気であることを確認します。

起こりうるリスク、フォローの仕方

リスクとしては、羊水感染や早産のリスクが増加することがあげられます。当院で胎児胸水貯留に対して処置を行った場合は、24時間〜1週間以内に胸水再貯留の程度を確認します。穿刺前と同程度に再貯留している場合には胎児胸腔-羊水腔シャント術を検討します。胎児卵巣嚢腫に対して処置を行った場合は、2週間ごとに外来で超音波検査を行い、卵巣の大きさや性状をフォローしていきます。再貯留が認められた場合は、再穿刺も検討します。