胎児治療説明

Fetal surgical interventions

羊水注入

羊水注入とは

羊水とは、子宮の中で赤ちゃんの周りにある水であり、ほとんど赤ちゃんのおしっこからなります。妊娠中に、赤ちゃんの疾患や破水、胎盤機能の悪化などにより、羊水が正常量よりも少なくなる場合があります。これを羊水過少といいます。妊娠の早い時期に高度の羊水過少になると、赤ちゃんの肺はうまく発育せず、四肢は変形・拘縮します。また、臍の緒の圧迫により、赤ちゃんに送られる血流が悪くなり低酸素状態となることもあります。羊水過少が生じる週数が早く高度であるほど、赤ちゃんが生存するのは困難となります。羊水注入とは、このような状況を回避するために、人工的に子宮内にリン酸リンゲル液を注入する方法です。また、羊水が極端に少ないと、胎児超音波検査が困難となり、原因疾患の診断がつけられません。このような場合に羊水注入を行うことで、検査が可能になることもあります。また、羊水注入を行った後に子宮頸管からの流出を確認することで、破水の診断が可能です。さらに、染色体異常の可能性がある場合は、羊水注入を行うことで羊水検査が可能になります。このように、羊水過少の原因疾患を診断するための手段として、羊水注入を行う場合もあります。

対象疾患

  • ・Potter症候群など、胎児の腎疾患、尿路疾患による羊水過少
  • ・原因不明の羊水過少(原因検索の手段として行う場合があります)
  • ・早産期前期破水の症例で、妊娠継続をする場合、羊水注入により胎児予後が改善したとの報告もあります。

具体的な方法

超音波で子宮内の様子を観察しながら、お母さんに針を刺し、羊水を注入します。

起こりうるリスク、フォローの仕方

羊水注入の合併症として、破水、感染、流産の可能性があります。また、手技に伴うリスクとして、出血、腸管などの臓器損傷のリスクがあります。
羊水注入を行った後は、合併症がないことを慎重に確認し、定期的な羊水量や赤ちゃんの状態の確認を継続します。