病院長挨拶

「最良の医療を皆様に提供できる、未来に向けて持続的に発展する病院を目指して」

大阪大学医学部附属病院 病院長 野々村 祝夫
大阪大学医学部附属病院
病院長 野々村 祝夫

大阪大学医学部附属病院の基本理念は「良質な医療を提供すると共に、医療人の育成と医療の発展に貢献する」ことであり、その基本方針は、①患者さん本位の安心・安全な全人的医療の提供、②高度先進医療・未来医療の開発・実践、③社会。地域医療への貢献、④豊かな人間性を持つ優れた医療人の育成です。当病院の職員一同が本理念の元、この基本方針を実践すべく日々の診療に当たっております。

基本理念にある「良質な医療」というのは、患者さんが安心して受けられる安全かつ高度な最新の医療です。私たち阪大病院のスタッフは、全ての診療科、部門において通常診療のみならず、がん診療、循環器診療、さらには再生医療や移植医療まで全ての領域において高度な最新医療を患者さんに安全に届けるために、診療科横断的、職種横断的なチーム医療を広く取り入れています。今日の医療においては、医療技術は日々進歩し、新薬が次々と開発されて臨床現場に出てきます。しかし残念な事にこれらの多くは、海外で開発されたもので、診療費の多くは海外に流出してしまっており、我が国の医療経済を窮迫しています。阪大病院は患者さんに最新の医療を届けるとともに、国産の安全でより安価な新規医療技術や新規医薬品の開発を目指して、研究や教育にも注力しております。こういった努力の結果、2015年に医療法上に位置づけられる「臨床研究中核病院」に指定されています。また、最近のゲノム医療の進歩に伴って、2018年にはがんゲノム医療がスタートし、阪大病院は「がんゲノム医療中核拠点病院」の認定を受けました。さらには、内閣府の主導する「AIホスピタル」事業における採択拠点として診療科横断的に医療AIの実装化に取り組んでいます。医師のみならず、看護師、薬剤師、検査技師、放射線技師などさまざまな医療職の育成を行っています。阪大病院で医療に従事された方々が、すばらしい医療者になられることを強く望んでいます。

2020年から始まった新型コロナ感染症の世界的蔓延では、世界中の人々が感染症に苦しみ、医療体制が大きく揺らぎました。その様な中で、阪大病院は重症患者受け入れ施設として、集中治療部のベッドを全て重症コロナ感染症患者さんのために使用し、大阪府からの要請に応えてきました。そのような中でも、手術件数を減らすことなく、高度な医療を求めておられる各種疾患患者さんにも充分な対応をしてこれた事は、まさに医療における最後の砦となり地域医療に貢献できたものと大変誇らしく思います。

最後に、「Futurability 待ち遠しくなる未来へ」というコンセプトのもと、すでに始まっている再開発事業としての統合診療棟建設について述べさせて頂きます。阪大病院が大阪市内の中之島から現在の吹田地区に移ってすでに30年が経ちます。老朽化や二度にわたる地震の影響、さらには昨今の医療の進歩に対応するための病院機能拡充の必要性などから、再開発が必要となりました。2021年8月に着工し、全工程42ヵ月に及ぶ大工事となります。その間、患者さんには駐車場スペースの減少や駐車場から病院玄関前の導線の悪化で大変なご迷惑をおかけいたしますが、来年5月に統合診療棟が完成することでこれまで以上にすばらしい診療体制が整うと思いますので、どうかご理解頂きたいと思います。この統合診療棟には、外来診療施設、手術部や放射線部、臨床検査部などの中央診療施設のほか、総合周産期母子医療センター、アイセンター、未来医療開発部など病院の高度機能を支える部門が設置されます。これまで以上にすばらしい医療を提供し、未来を見据えてさらに発展・進化していく阪大病院にどうか期待して頂きたいと思います。

■本院の歴代病院長はこちらをご覧ください。⇒阪大病院・歴代病院長.pdf