患者さんと医療者のパートナーシップ 阪大「いろはうた」

社会医療法人 生長会 府中病院
「安全で安心な医療を受けていただくための10ヵ条」

作成の経緯

 私たちは安全で安心できる医療を提供するために様々な取り組みを行っています。しかし医療は多様化し、現場では様々な「危険なこと」や「予想できないこと」が発生しています。私たちは最善の注意を払っていますが、職員の努力だけでは十分ではなく、患者さんやご家族を巻き込み、協力して頂くことが不可欠だと考えました。
 当法人では平成14年に法人の理念である「愛の医療と福祉の実現」に結びついたサービスを提供するために「AIFフィロソフィー」を構築。医療提供者と提供を受ける患者や家族との関係を「チーム」として捉え「ベストパートナーシップ宣言」をしております。
 この宣言に基づき患者さんやそのご家族も医療に積極的に参加して頂くために、COMLの「医者にかかる10箇条」、船橋市立医療センター監修の「患者家族の安全対策20か条」、米国保険福祉省による「医療ミスを防ぐための20カ条」などを参考に平成24年11月に当院独自の「安全で安心な医療を受けて頂くための10カ条」を制定、冊子を作成、配布するとともにベッドサイドに設置することにしました。
 しかし、もっと広くパートナーに理解・協力を頂くために何か良い方法は無いものかと考えていたところ、平成23年12月「日本医療機能評価機構 地域フォーラム 倉敷」に参加し「大阪大学医学部附属病院 中央クオリティマネジメント部」の「いろはうた」の取り組みを学び、「これだ!!」と直感。直ちに法人内の急性期病院である「ベルランド総合病院」と協議し、実用的でパートナーの目に触れる機会の多い媒体として「クリアファイル化」することを決定、入院時に発行される様々な同意書や説明書を挿み込んで頂くことにしました。幅広い年齢の方に理解して頂けるように、10カ条一つ一つをイラストに表すことにし、イラストの上手い職員を見つけ20枚以上の原画を作成してもらいました。その中からより分かり易く、温かみのある、なじみの良いもの10点を選び、完成にこぎ着けました。
 平成24年9月より府中病院、ベルランド病院で運用を開始し、今後法人内の他病院「ベルピアノ病院」「阪南市民病院」への拡大を考えております。また現在府中病院ではアンケートを実施し10カ条普及の効果を検証しようとしています。

平成26年11月17日
 文責:府中病院 クオリティ管理センター 野村真美

第1条 ご自分の状態を正確に伝え、治療にご参加ください
第2条 名前の確認にご協力ください
第3条 転倒転落等事故防止対策にご理解・ご協力をお願いします
第4条 わからないことは遠慮せずに質問してください
第5条 治療についてご自分の意思を正しくお伝えください
第6条 説明は、出来るだけご家族と一緒に聞きましょう
第7条 院内感染防止にご協力お願いします
第8条 入院中の持ち物に注意しましょう
第9条 面会時間と面会者の規則を守ってください
第10条 地域の方々と共に安全で安心できる病院づくりを目指しています

市立角館総合病院 医療安全推進週間

市立角館総合病院(秋田県仙北市)では、2014年11月3日~7日の医療安全推進週間で“阪大病院「いろはうた」”を院内に掲示されました。
患者さんからは「医療安全と言われてもわかりにくかったが、いろはうたを読んだらわかりやすくてよかった」、「なるほどと思った」等の声が寄せられたそうです。

松江版いろはうた

松江赤十字病院(島根県松江市)では、松江の方言版「いろはうた」を作成し、2014年10月12日(日)の「病院まつり」で院内に掲示されました。多くの方に見ていただき大好評だったそうです♪