視察・調査・研修

2009年度

国内視察等

日時 2010年3月13日
テーマ 認知心理学会・安全心理部会ミニシンポジウム
他職種に広がるCRM訓練~現状と課題~(立教大学)
主催者 認知心理学会・安全心理部会
概要  はじめに司会の芳賀繁氏(立教大学)より、ヒューマンファクターマネジメントの二つの形態についての解説が行われました。
 引き続き、国土交通省東京航空局保安部管制課の野村伸一氏、東芝林間病院看護部の平野佳穂氏、および、JR東日本研究開発センターの楠神健氏の3名より、各々の施設におけるCRMトレーニング導入の経緯や、実際の訓練内容の紹介、課題の報告が行われました。
 その後の総合討議においては、各業界におけるCRM訓練の実践に関する具体的展開方法や課題に関して、参加者を交えた検討が実施されました。
日時 2009年11月26日
テーマ 航空機整備における安全(全日空整備)
概要  空の安全確保のために、航空機整備の現場においてどのような取り組みが行われているかについて、見学・情報交換を行い、医療現場への応用可能性について検討しました。
  訪問先の企業では、作業前後や業務中に小グループに分かれてのブリーフィング、デブリーフィングが連日実施され、注意事項等の共有を行っていました。また、整備部門や管理部門が一帯となり、安全確保のための標語を作成、随所に掲示するなど、様々な取り組みを意識付けする仕組みが整えられていました。
 その他、整備作業中に着用するヘルメットの色の差により周囲が新人を認識できる工夫など、安全確保のためにソフト・ハード両面に亘る多くの取り組みがなされていました。
日時 2009年11月25日
テーマ KIDUKIプロバイダーコース(日本橋プラザビル)
主催者 日本医療教授システム学会
概要  患者急変時の初動とその迅速な評価、そしてその伝達方法についての体験学習コースに参加しました。
 看護師の「何か変だ」という気づきと、それらの情報を言語化することの重要性を半日のグループワークから改めて学ぶことができました。
日時 2009年10月24日~25日
テーマ 小さなシミュレーションワークショップ(徳島大学)
主催者 徳島大学
概要  徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部医療教育開発センター企画のセミナーに参加しました。
 ワークショップは、高額な機器や立派なスキルス・ラボがなくても、工夫次第でシミュレーション教育は可能であるというポリシーのもとに企画されており、2日間の講義・グループワーク等を通じ、具体的なプログラムの企画立案から実施、評価までを経験しました。
日時 2009年10月9日・10日
テーマ シミュレーション教育(国家公務員共済組合連合会シミュレーション・ラボセンター、横浜市立大学附属病院シミュレーションセンター、テルモメディカルプラネックス)
概要  虎ノ門病院分院 国家公務員共済組合連合会シミュレーション・ラボセンターへ見学に伺いました。
  直接病棟に足を運び、現場の要望を把握しながらコース運用を一人で行っているラボマネジャーの臨床工学士さんのマネジメント力に驚かされました。今後は、他施設との連携をはかりつつ、e-ラーニング導入も検討中のようです。
 続いて、同日、横浜市立大学附属病院シミュレーションセンターの見学に伺いました。卒前・卒後を通して、シミュレーションを用いた教育が活発に行われている点や、外科寺子屋では、学んだ人が新しく参加した人を教える、という教育の再生産が行われている点が印象的でした。
 翌日には、テルモメディカルプラネックスの見学に伺いました。広大な敷地に、ウェットラボでの鏡視下手術トレーニングなど非常に再現性の高いテクニカルなシミュレーションや、臨床の場におけるチームワークトレーニング、在宅ケアシミュレーションなど、臨床のさまざまな文脈に応用可能なシミュレーショントレーニングの場が提供されていました。
日時 2009年8月6日・7日
テーマ 病院Eラーニングシステム(東京大学医学部附属病院、横浜市立大学総合医療センター、聖マリアンナ医科大学病院)
概要  いずれの病院でも、e-ラーニングシステムは電子カルテとは独立したイントラネット上に設置されていました。
 教育管理については、いずれの病院も職員の出入りが頻回であるため、学習対象者である「職員録」の管理・更新に苦労しており、電子カルテの職員マスターのバッチ処理ではなく、各診療部門等の責任者により手作業で定期的に行われていました。
 また、コンテンツ(教材)については、基本的に院内の職員で分担するなどして、オリジナルに作成されており、その内容は医療安全、災害対応、個人情報保護等が見られましたが、教材加工に相当の費用が必要であるということでした。
 また、職員のEラーニングへの関心を高めるために、院内の様々なアンケート調査のツールとして使用する等の工夫がされていました。
日時 2009年6月5日
テーマ Eラーニングシステムとインストラクショナルデザイン(熊本大学Eラーニング推進機構)
概要  熊本大学社会文化研究科教授システム学専攻鈴木克明教授、喜多敏博教授を訪問し熊本大学のシステム事例等の説明を受けながら、成人に対するEラーニングのあり方について意見交換を行いました。
 Eラーニングシステム構築や実現には、ARCSモデルの理解、すなわち、注意(おもしそろうだな)・関連性(やりがいがありそうだな)・自信(やればできそうだな)・満足感(やってよかったな)、というような感覚を受講生に抱かせ、学ぶ側に興味を持たせることや学習することのメリットになるきっかけを与えるような仕組みを意識したつくりが必要であることを学びました。
 また、ADDIEプロセスなどのモデルを基に、インタラクティブなデザインプロセスを意識した枠組みの形成も大切であること等がわかりました

海外視察等

日時 2010年1月18日~28日
テーマ 病院視察(University of Pittsburgh Medical Center、Peter M. Winter Institute for Simulation Education Research (WISER) 、Emory University Hospital)
学会発表:International Meeting on Simulation in Healthcare (IMSH) 2010(フェニックス)
概要  米国の医療安全、院内救急、シミュレーション教育に対する取り組みを直接見聞きするためアメリカへ視察にいきました。
 University of Pittsburgh Medical Centerでは、院内救急に対応するラピッドリスポンスシステムの活動を見学しました。
 Peter M. Winter Institute for Simulation Education Research (WISER)は、世界的に有名なシミュレーション教育施設の一つであり、実際にマネキンを使用した授業を聴講しました。
 Emory University Hospital(アトランタ)では、医療安全に関する意見交換とICU病棟の見学をしました。
 International Meeting on Simulation in Healthcare(フェニックス)では、学会発表を行うとともに、シミュレーション教育に関する世界の現状を勉強しました。
日時 2009年10月12日
テーマ 医療の質・安全に対する科学的な取り組み(British Medical Association, ロンドン)
概要  British Medical Journalの編集長Dr. Fiona Godleeの訪問・意見交換:医療の質・安全に関する科学的な知見の共有、関連学際領域の体系化についてディスカッションを行いました。
 医療の質・安全に関する論文は、通常の科学論文(いわゆるIMRaD フォーマット)では表現しにくかったために、BMJやQSHCではここ5~10年にわたり、Quality Improvement Report(1999年ガイドライン発表)を採用しており、また、2007年には「SQUIRE(Standards for quality improvement report excellence) guidelines」が発表されています。
参考ホームページアドレス:http://www.BMJ.com

International Forum on Quality and Safety in Health Care のフォーラムディレクターであるMr. Mark Stuart への訪問・意見交換: 医療の質・安全に関する国際交流の活発化についてディスカッションを行いました。
 この学会はBMJとIHIが主催しているもので、2010年4月にニースで開催される学会では、「Remote Participation Programme」を予定しており、日本におけるこのプログラムの実施必要性や可能性についての検討を行いました。
参考ホームページアドレス:http://internationalforum.bmj.com
日時 2009年7月9日~17日
テーマ 院内急変対応システム(Sim Tiki , Society of Critical Care Medicine:Rapid Response System Training, Department of Veterans Affairs Simulation Center Stanford University, Santa Clara Valley Medical Center)
概要  病院での患者急変時対応のシステム(Rapid Response System:RRS)への取り組みやシミュレーション教育を学ぶため、米国(ハワイ、サンフランシスコ)へ視察に伺いました。
 Sim Tiki では到達目標が明確なシミュレーショントレーニングコースへ参加・見学しました。
米国集中治療医学会主催のRapid Response System Training ではRRSの必要性や呼吸・循環・ショック等の病態生理に関する講義を受けました。
Department of Veterans Affairs Simulation Center Stanford Universityでは、病院職員・医学生が使用する大規模なシミュレーショントレーニング施設を見学し、トレーニングに使用する器材を管理する専任のシミュレーションラボマネジャーの重要性を知ることが出来ました。
 Santa Clara Valley Medical CenterではRRSを医療現場に導入・周知するときの工夫をお聞きし、次のステップとして取り組まれているALERT(Assistant Led Early Recognition Triggers)、HENRI(Hospital Early Nursing Recognition/Intervention)について意見交換を行いました。
その他 新開裕幸「米国視察記:Rapid Response Systemと患者安全教育」,週刊医学界新聞,2859号.