視察・調査・研修

2011年度

国内視察等

日時 2012年3月6日
テーマ 第2回検査・処置・手術安全セミナー
主催者 日本医療機能評価機構 認定病院患者安全推進協議会
概要  認定病院患者安全推進協議会 検査・処置・手術安全部会の活動について、部会長の米井昭智先生(倉敷中央病院 医療安全管理室担当 医院長補佐)から報告がありました。
  また、今年度のテーマ「確認の仕方を問う」について、手術や侵襲を伴う検査時の患者や部位、術式確認の方法に関するアンケート結果(243会員病院回答)が報告され、回答した243会員病院のうち、患者および手術部位の同定を毎回行う施設が86%にとどまったという問題点が指摘されました。基調講演として、菊地龍明先生(国立病院機構 横浜医療センター)から、1999年に発生した患者取り違え手術について、事故の概要、その後の再発防止策の実施、順守状況、及び患者確認方法の見直しについてご紹介いただきました。
日時 2012年2月25日
テーマ AMCA (Airway Management in Critical Care medicine and Anesthesiology)ジェネラルコース(横浜市立大学附属病院シミュレーションセンター)
主催者 AMCA
概要  AMCAジェネラルコースにチューターとして参加させていただきました。気道確保困難へのテクニカルなシミュレーションを1日で経験できるコースです。LMA、ILMA、ブジー、ビデオ喉頭今日、輪状甲状靭帯穿刺、小児の6つのブースに分かれて各手技を体験し、DAS(英国気道確保困難学会)・ASA(米国麻酔科学会)のガイドラインに関する講義、さらに、シナリオを用いたトレーニング間が設けられていました。コースの最後には、各人が自分の練習したい手技を練習するフリートレーニングの時間が設けられていました。
 短時間で効果的な講習ができるようにインストラクションが凝縮されており、コース終了後に効果的にインストラクターのディブリーフィングが行われていたことが学習効果を向上させていました。特に、非麻酔科医師には、このような気道確保に関する講習の機会は非常に少なく、今後、非麻酔科医を対象とするベーシックな講習も必要と思われました。
日時 2011年11月25日~26日
テーマ 平成23年度第1回院内自殺の予防と事後対応のための研修会(日本医療機能評価機構 9階ホール)
主催者 財団法人 日本医療機能評価機構 認定病院患者安全推進協議会
概要  2005年に日本医療機能評価機構認定病院患者安全協議会に属する「一般病院で精神科病床を持たない833病院」と「精神科病床を有する165病院」において行われた、過去3年間に発生した入院患者さんの自殺事故に関する調査結果をもとに企画された研修会に参加しました。
 自殺学の基本、患者の自殺と病院の法的責任などの講義を受講し、ホットスポット対策、表情認知、コミュニケーションについては、ロールプレイを通して、自殺予防のための知識やコミュニケーション技術を習得しました。
日時 2011年10月28日
テーマ Simulation in Graduate Medical Education(レールダルジャパン本社)
主催者 Steve Mclaughlin、レールダルジャパン
概要  米国ニューメキシコ大学救急医学教授のDr. McLaughlinによるシミュレーションを用いた卒後教育に関する講演会に参加しました。
 米国における救急医学の初期研修では、シミュレーションが導入されており、蘇生や気道のようなテクニカルスキルだけでなく、チームワーク、プロフェッショナリズムや医療におけるエラーについてのトレーニングや、多職種でのトレーニングの機会が増加していることが示されました。また、シミュレーション教育を効果的に行うための秘訣として、フィードバックの重要性、カリキュラムへの組み込み、十分な時間を割り当て、トレーニングを繰り返せること等が示されました。また、そのシミュレーションで学ぶべきことを明確にし、適切な評価尺度を用いてパフォーマンスを評価することや、そのために適切なシナリオを作成することの重要性が強調されました。
日時 2011年7月24日
テーマ 肺塞栓症予防国際シンポジウム(グランドプリンスホテル京都)
主催者 医療安全全国共同行動
概要  国際血栓止血学会に合わせて英国NHS等との協力で開催された肺塞栓症予防国際シンポジウムに参加しました。
 基調講演では、VTE予防に関する国際共同声明が紹介され、米国カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)のProfessor Maynardにより、UCSDにおけるVTE予防プロトコールのデザイン及び導入を例に、院内における肺塞栓症予防を進めるためには、①病院全体で取り組むこと、②オーダリングシステムに組み込むこと、③リスク評価ツールの階層を少なく設定すること、④各病院に応じて適切な改変を行うこと、⑤インターベンションの実施状況をモニタリングする仕組みを確立すること、の5点の重要性が示されました。
日時 2011年7月14日
テーマ 平成23年度拡大医療安全推進会議(日本看護協会ビル JNAホール)
主催者 公益法人 日本看護協会
概要  本会議は、各都道府県看護協会の医療安全担当者を対象に、情報提供やネットワークの構築、意見交換を目的に開催されている会議であり、今年度で9回目を迎えます。
 今回は、本院で採用している一般病床用ベッドについて、聖路加国際病院 医療安全管理者から「組織を超えた医療安全の取り組み~医療機関におけるベッドの安全について~」と題しての講演があり、ベッドの安全性についての情報収集を目的に参加しました。ベッドに関する安全の医薬品・医療機器安全との相違点について、メーカー以外の情報収集の仕組みがないこと、経済産業省への医療機関からの報告ルートがないこと、管轄省庁が不明瞭であることなどから、改善はメーカーの対応や判断にのみ依存していると述べられていました。
日時 2011年7月14日
テーマ 第4回NOTSS研究会(名古屋キャッスルプラザ)
主催者 NOTSS (non-technical skills for surgeons)研究会
概要  NOTSS研究会において、英国アバーディン大学の認知心理学者であるDr. Steven Yuleの講演会に参加しました。
  外科医のノンテクニカルスキルのレーティングシステムであるNOTSSについて、医療従事者の行動観察やタスク分析を通じてスキルセットを同定し、手術室においてユーザビリティ・テストを行った研究開発の経緯が示されました。さらに、シミュレーション環境や手術室における若手医師の評価などの研究の紹介があり、NOTSSの臨床環境への適用可能性の検証とその導入が今後の課題であることが明らかになりました。
日時 2011年7月12日
テーマ 「患者の視点に立った医療データ分析に関する研究」シンポジウム(コクヨホール)
主催者 日本医療情報学会課題研究会「患者視点に立った医療データ分析に関する研究」
概要  国内外における最新の情報処理技術やデータ解析手法に関する研究報告、及び求められる技術や人材育成をテーマにしたパネルディスカッションが行われた。
  千葉大学の類似症例検索に関する報告では、電子化された診療文書から、特徴ある単語を抽出し、多次元ベクトルに変換する解析手法が紹介された。診療支援ツールの開発や、診療記録の2次利用という観点から参考になる発表であった。
 米国インターシステムズ社が開発した、テキストファイルやPDFなどの非構造データから意味抽出を支援する新しい技術の紹介では、個々の単語ではなく、言語関係性のルールに基づく分析と、各領域のオントロジーに対する高精度マッピングにより、文書内に存在する意味を見つけ出す仕組みなどが紹介された。パネルディスカッションでは、医療情報技師の育成やデータマイニングに必要なスキルなどが紹介された。
 総合討論では、IT技術や解析手法は飛躍的に進歩しているが、医療情報を扱う人材が不足していることが指摘され、医学知識とデータ解析スキルを兼ね備えた人材の育成が、重要な課題であることが明らかになった。
日時 2011年7月9日
テーマ 医療ツーリズムと医療通訳士の役割(松藤プラザ「えきまえ」いきいきひろば)
主催者 医療通訳士協議会・財団法人長崎県国際交流協会・日本グローバルヘルス研究センター
概要  第4回医療通訳士協議会(JAMI)セミナーに参加しました。医療が観光資源と して注目される中、これから医療通訳士に求められる役割やその上で専門職として報酬を得ることができるシステムの構築が必要とされている、といった課題に関する情報を得ました。
 また、今回のセミナーでは「医療通訳士倫理規定」が公表され、その中では、医療通訳士は言葉の通訳のみでなく、コミュニケーションの支援を行う専門職として、患者と医療従事者が互いを理解しあい健康と福利の促進のために必要な信頼関係の構築に寄与することを使命とすることが明文化されていました。
日時 2011年6月10日
テーマ 医療の質向上に貢献する診療情報管理士を目指して(芝蘭会館(京都大学医学部構内))
主催者 近畿病歴管理セミナー
概要  京都大学医学部附属病院で稼働している病院情報システムに関する講演では、計測機器から発生したバイタル情報と医療者・患者の位置情報を合わせて、いつ、どこで、誰が、誰のバイタルを測定しているのかを自動記録するシステムについて情報を得ました。
 また、診療の質指標(Quality Indicator)に関する講演では、システムに蓄積されている診療データとカルテレビューにより標準診療の遵守率を算出する方法の概要を知り、実際の診療と推奨されている診療プロセスとのギャップ(バリアンス)を評価することにより、医療の質向上のための「教育」へと発展させることができるのではないかと考えられました。
日時 2011年5月20日
テーマ 医療統計情報の有効的な活用(大阪大学中之島センター)
主催者 医療統計情報プラットホーム(CISA)研究会
概要  14大学病院が参加している「大規模分散型共有データベース」を活用した各大学での研究事例の報告会であった。多施設における医薬品の利用状況のデータを元に、自院でのジェネリック医薬品への切り替えシミュレーションを行い、年間1億円の経費節減が見込めることが明らかになったという研究結果の報告や、併用すべき薬剤コンプライアンスの実態調査などが紹介された。
 臨床研究への応用事例では、入院患者に複数病名が存在することから、病名と診療行為や医薬品の使用頻度等の比較分析が難しい点などが指摘された。
  特別講演では、DPC情報を活用した研究事例が報告された。DPC参加病院が増加したことで、診療情報の可視化が進み、地域医療連携体制の再構築や、診療圏における病院の競合や医師不足などの実情が明らかになり、効率的な医療提供(選択と集中)を進める必要性などが指摘された。
 本研究会に参加することで、大規模データベースの活用や評価方法、精度管理に関する手法、多施設での情報共有を考慮したデータベース設計の注意点などについて学んだ。