対象疾患説明
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腹部の疾患
先天性十二指腸閉鎖症
(Duodenal atresia)
先天性十二指腸閉鎖症とは
十二指腸閉鎖症とは十二指腸下降脚の一部が途切れて内容物が通過しないために、胃や上部十二指腸が拡張する病態です。
十二指腸閉鎖症は他の奇形(45-68%)や遺伝子異常(ダウン症:30%)を認めることがあり、生まれた後に精査を行います。
十二指腸閉鎖症の種類
十二指腸の一部が閉鎖し離断しているタイプ(離断型)、膜で隔たっているタイプ(膜様型)、狭窄しているタイプ(狭窄)、膵臓や門脈に囲まれ内腔が狭くなっているタイプ(輪状膵、十二指腸膳門脈)などがあります。
原因
十二指腸閉鎖症の離断型は妊娠8-10週頃に十二指腸のリカナリゼーションと呼ばれる管腔内の細胞脱落が生じないことが原因と言われています。
輪状膵による十二指腸閉鎖症は、妊娠8週頃に生じる腹側膵芽の癒合異常が原因です。
発生頻度
1/7000-40000人の割合で生じます。先天性腸閉鎖の中で2番目に多い病気です。
胎児期の超音波所見
ダブルバブルサインと呼ばれる特徴的な所見(拡張した胃と上部十二指腸)の他、胃の過蠕動、羊水過多などを認めます。
他の合併奇形を認める場合、羊水検査などをおすすめすることがあります。
胎児期の症状
通常は無症状で経過します。
稀に、妊娠後期に、消化液が羊水中に逆流し、臍帯に潰瘍ができて急に大量出血し、児が高度の貧血となる症例や、子宮内死亡(2-12%)なども認めることがあります。
胎児治療
現時点で十二指腸閉鎖症に対する胎児治療はありません。
分娩時期・方法
通常、十二指腸閉鎖症により分娩方法や分娩時期が変更になることはありません。
しかし、臍帯潰瘍による高度貧血を認めた場合、緊急帝王切開となることがあります。
生後の症状・治療
十二指腸閉鎖症は、生まれた後、経鼻胃管を挿入し溜まっている胃液をドレナージして、誤嚥性肺炎にならないようにケアを行います。
全身状態が安定した生後1-3日頃に手術(十二指腸―十二指腸吻合)を行います。
合併奇形がある場合は、合併奇形の治療必要性に応じて手術時期を決めることになります。