対象疾患説明

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その他の疾患
リンパ管奇形
(Lymphatic malformation)

リンパ管奇形とは

リンパ管奇形とは、血管奇形(血管(毛細血管、リンパ管、静脈など)の発生段階の形成異常)の一型で、リンパ管が限局性またはびまん性に拡張しリンパ液が貯留する病態を言います。

頸部・腋窩・鼠径部・後腹膜に多く認めますが、どこにでも生じます。

リンパ管奇形の種類・重症度

リンパ管奇形は嚢胞状に認める場合が多く、嚢胞の大きさによりマクロシスト型(Macrocystic)、マイクロシスト型(Microcystic)、混合型に分類されます。
又、リンパ管奇形のみを認める病型(Simple lymphatic malformation)と、リンパ管奇形が他の血管奇形や血管腫と混在している病型(Combined lymphatic malformation)があり、後者には、軟部組織の肥大や、骨格の過成長、脂肪腫性過成長を伴うようなKlippel-Trenaunay syndrome、CLOVES syndrome、Parkes Weber syndromeなどと呼ばれる症候群も含まれます。

原因

PIK3CAの遺伝子変異が原因と言われています。

発生頻度

人口の1.5%程度に認めます。

胎児期の超音波所見

頸部、腋窩などに液体貯留を伴う嚢胞として認めることが多いです。
特に顔面・喉咽頭に認めるリンパ管奇形の内、喉頭蓋、声帯ひだ、舌を含む大きなリンパ管奇形は、生後呼吸困難のリスクが高く頻回のフォローアップが必要です。

胎児期の症状

通常は無症状で経過します。

胎児治療

通常胎児治療は行いませんが、近年母体シロリムス投与の有効性が報告されました。

分娩時期・方法

通常、リンパ管奇形により分娩時期・分娩方法が変更になることはありません。
しかし、生後呼吸困難のリスクが高い顔面・喉咽頭の大きなリンパ管奇形に対しては、気道確保目的のEXITを行う事があります。

生後の症状・治療

リンパ管奇形は、場所・大きさ・浸潤度により症状が異なり、機能障害を伴わない無症状のものから、リンパ漏、血栓、胸水・腹水、骨病変、四肢・体幹のリンパ浮腫など広範囲の機能障害を伴う症状を呈するものまで存在します。
リンパ管奇形の治療法は、場所・大きさ・症状を考慮し、圧迫療法、シロリムス内服、漢方内服、硬化療法、手術療法などを組み合わせながら行います。