対象疾患説明

Conditions we treat

泌尿生殖の疾患
水腎症
(Hydronephrosis)

水腎症とは

水腎症とは、腎臓で作られた尿が腎盂や腎杯に溜まって拡張している病態を指します。尿管も拡張している場合は、水腎水尿管症と呼ばれます。

水腎症の種類・重症度

水腎症は、腎盂・腎杯の拡張の程度により重症度が分類されます。

SFU-I度:腎盂のみが拡張している
SFU-II度 :腎盂と一部の腎杯が拡張している
SFU-III度:腎盂とすべての腎杯が拡張している
SFU-IV度 :腎盂とすべての腎杯が拡張しており、腎実質が菲薄化している。

水腎症の原因

水腎症を引き起こす病気は以下の通りです。

腎盂尿管移行部狭窄

腎盂から尿管に移行する部位が狭い、もしくは血管に押されて内腔が閉塞するなどで、腎盂に尿が貯留し拡張する病態です。

膀胱尿管移行部狭窄

尿管から膀胱に移行する部位が狭い、もしくは尿管瘤に押されて尿の流れが悪いなどで、腎盂・腎杯・尿管に尿が貯留し拡張する病態です。

膀胱尿管逆流症

膀胱に溜まった尿が上部尿路(尿管・腎盂)に逆流する病態です。尿管膀胱移行部の形態異常によって生じます。

発生頻度

胎児超音波検査で最もよく見る疾患で、1/100人の割合で生じます。

胎児期の超音波所見

水腎症では、胎児の下腹部に拡張した腎盂・腎杯を認めます。
水腎水尿管症では、腎盂・腎杯の拡張に加えて尿管の拡張を認めます。
SFU-IVでは、腎実質の菲薄化を認めます。さらに重症だと腎臓の萎縮を認めることがあります。

胎児期の症状

通常は無症状で経過します。

胎児治療

現時点で水腎症に対する胎児治療はありません。

分娩時期・方法

通常、水腎症により分娩方法や分娩時期が変更になることはありません。

生後の症状・治療

通常無症状で経過します。定期的に超音波検査や腎機能検査などを行います。腎機能低下を認める場合には、病態に応じた手術が必要です。